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宝塚てくてく

木莵草子(みみずくそうし) vol.3

タムシバ(噛柴)

春を告げる白い冠

宝塚市北部の山間部には「タムシバ」が開花します。豊富な里山を持つ私たち市民には、大切にしたい春の到来。
踏青の季節、装いも軽く仲間をさそいさあ出かけよう。
早春、冬の間、眠っていた山が、タムシバが咲いて喜んで笑った。春が来たのだ。
街ではモクレン、コブシがあちこちで、花を咲かせる。
タムシバも同じモクレン科の仲間で、春いちはやく、葉の出る前に花の蕾が勢いよく頭をもたげる。それらは大小様々、向きもあちこちであるが皆、柔らかく細い綿
毛でビッシリとくるまれていて、暖かそうに見える。コブシとよく間違えられるが、この辺りではコブシは主に庭木や街路樹に利用され、タムシバは山間に自生する。共に白い花を一斉に開くが、コブシの花弁は太く花の下に葉が一枚付く。タムシバの花弁は細く花の下に葉は付かない。
古宝山や検見山あたりも<br>ぽっぽっと咲いています
古宝山や検見山あたりも
ぽっぽっと咲いています
寒い冬の玄々とした山肌が突然白い画布が懸ったように明るくなる時がある。山に自生しているタムシバの群生が一斉に花を開いたのだ。それは、ほんの10日間位なのだが、この時期、その光世を目にした人は幸せである。それほど素晴らしい景色で、その前は何もなかったように静まり返っているのがうその様だ。宝塚市の里山では春先に幸いにもこの光世を眼にすることがある。そして誰もが新鮮な驚きと熹びを感じる。
先ずは車で十万辻のトンネルを抜けて、烏ケ脇から切畑へ向かって走りながら左側の山を見るとオヤッ?何かな?と思うほど山肌が白い時がある。タムシバの花が一面に山肌を覆っているのだ。そして更に玉瀬に向かって走ると前方の山の斜面にも点々と白い花が見られ、こちらを手招きしてくれているかの様である。
枝いっぱいの白い花からは甘い香りが
枝いっぱいの白い花からは甘い香りが
早春の山行で、布見ヶ岳、大岩岳など登っている時、ふと足を止めて周囲を眺めるとよい。千刈水源地周辺の山々にも、そこかしこにタムシバの白い花を見つけて嬉しくなる。
「白夜とも紛う辛夷の盛りかな」の句が示すように、コブシ、タムシバは、周りが、未だ暗く沈んでいる時に、明るく華やいだ気分にしてくれる重宝な植物である。
タムシバには、ニオイコブシ、カムシバという別名がある。花には芳香があり、葉を噛むとキシリトールのような甘味があるために、この名がついた。これが転じてタムシバになったといわれる。
興味本位に、小枝を折ったり葉をむしりとったりするのは、マナー違反になりますよ。
宝塚てくてく第242号<平成21(2009)年3月号>より

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