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宝塚てくてく

木莵草子(みみずくそうし) vol.4

シイ(椎)

1年以上かけじっくり実を育てる木

常緑樹も衣替えして若葉が色を競い合っているころ、社寺林はパッチワークのようになる。その中でもこもこした黄金色の樹冠で存在感を示し、際立っているのがシイの木である。
市内には数多くの神社仏閣がある。その社寺林にも神や仏が宿っている神聖な場所として木を切らない習わしが今も続いている。それが幸いして壮厳な作囲気をかもし出す鎮守の森になった。清荒神や売布神社のシイ林を有する森は市指定天然記念物である。

シイは照葉樹林の代表構成種で”シイ”と言うと一般的にはスダジイを指すが、この辺りに多いコジイ(ツブラジイ)もシイと呼ばれている。

いずれも大木は25mほどになり、コジイは老木でも樹皮は滑らかで、どんぐりは約1cmの球形で円(ツブラ)ジイと言われるゆえんである。スダジイは樹皮が黒褐色で大木になると縦に深く裂け目ができる。どんぐりは1.5~1.8cmの円錐形状卵形なので区別が出来る。

常緑樹の”どんぐり”の木の中では葉も実も小さめで、どんぐりは翌年の秋に成熟すると殼斗(かくと)が3つに裂けて現われ、どんぐりによく見られるハカマは付けていない。

シイの実は背から人間が好物にしているどんぐりの一つでほんのり甘いそうだ。しかし実のなる木は少ないと言う。
売布神社
売布神社
天満宮(山本)
天満宮(山本)
松尾神社
松尾神社
シイの実は背から人間が好物にしているどんぐりの一つでほんのり甘いそうだ。しかし実のなる木は少ないと言う。

5月1日に清荒神の駐車場に降り立つと”むっ”とした臭いが…。それがシイの花の臭いである。境内はもちろんの事、駐車場から山門までも両側にシイ林が続く。清荒神5丁目の公園からその樹冠が望める。

遠目にはこんもり茂った若葉のように見えるが、長さ5~8cmの穂状の雄花が咲き黄金色に見えるのである。シイ林の山を”金華山”と名付けるのも納得できる。

ピピアめふから東を望み、黄金色に輝いて見える山本の天満宮の森。真下では実感できないが遠目に見ると森のほとんどの木がシイではないかと思われる。

天満宮の前の畑で作業をしていた男性は「ここには丸くて黒っぼいのと、長目で薄茶の2種類のドングリが落ちてますよ。中の実は小さ過ぎて味わえるというほどのもんでもないけどねえ」と。女性は「お宮さんが黄色くなったら顔がかゆくなるので近づかんようにしてますわ」と。多量の花粉が飛散するのだろう。

シイは昔から食用や炭などの他に、コジイは庭木、公園樹、建築・器具材として、スダジイはそれらに加えて防火・防風林、船舶材やシイタケのホダ木として利用され用途も多く、人々の生活と切り離せない木である。

5月中旬、花は落ちて、伸びた技に若葉がそよいでいた。
明るく黄色に色づいた枝先の花
明るく黄色に色づいた枝先の花
金色に輝く鎮守の森
金色に輝く鎮守の森
宝塚てくてく第245号<平成21(2009)年6月号>より

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