地元暮らしをちょっぴり楽しくするようなオリジナル情報なら、宝塚の地域情報サイト「まいぷれ」!
文字サイズ文字を小さくする文字を大きくする

宝塚の地域情報サイト「まいぷれ」

宝塚てくてく

氷瀑-ひょうばく-

「氷瀑」それは寒い冬にのみ自然が見せてくれる美しい景観です。
近年、地球温暖化の影響で昔の様に全体がガチガチに白く凍る事は無い様ですが、細い流れを残したまま透明感のある氷の造形には目を見張らされます。
2008年2月15日の百間滝
2008年2月15日の百間滝
箕面の滝、布引の滝などは、よく知られていますが、裏六甲の滝はあまり知られておらず、なおさら厳冬期の「氷瀑」を知らない人は多いでしょう。
今回は幾つかある中で、百間滝、似位滝、七曲滝の三つの滝を紹介しましょう。

これらは有馬温泉街の南側の山に分け入り紅葉谷、白石谷をさかのぼると、人手が入らない素朴な自然のままの状態で存在します。標高600m余り、六甲山の三分の二の高さにありますから、気軽に箕面の滝を見にゆくような訳には参りません。ハイキングではなく登山です。30~40m位の落差がありますが、垂直に大量の水が落ちるのでなく細い川が岩肌に洽って広がりながら流れ下ります。

古来、わが国では、滝は神聖なものとして崇められてきた例は多いのですが、この三つの滝には、注連縄の一本も御幣一片もありません。山川草木、自然には神が宿ると信じ、敬謙な気持ちを持つ日本人にしては珍しいことです。きっと、冷気がきつく底冷えがするので拝んでいる暇が無いのでしょう。ところが凍りっいた滝は神々しく、とても美しいものです。歩きにくい谷を登りっめ初めて発見したときは、アッと驚くほどです。

これらの滝には滝壷がないので真下まで行って、「氷瀑」を見上げることができます。
あたり一面に広がっている無数の氷柱と、水晶細工のような氷の造形美を堪能できるでしょう。陽があたると、さぞかし美しいだろうと思われますが、南側の高い崖が邪魔をしているのでしょうか、キラキラ冬日に輝く氷柱を見るのは、至難の業かもしれません。

登山道は踏み跡をたどって行けますが随所に滑落の危険があり、登山装備としては、防水、防寒の装備をしっかりし、アイゼンは必携です。靴下、手袋の替えも待っていった方が良いでしょう。

有馬温泉街から少し登った所に、ロープウェー乗り場があります。これを右手に見ながら車道(一般車通行禁止)を歩くと、樹林帯に入ります。昨年秋にできたばかりの砂防ダムを越えると、紅葉谷のメインの道路から、左(東)へ分かれ道があります。白石谷への熟練者向きの山道と案内板で紹介されていますが百間滝までは、流れに沿って、登ってゆけば道に迷うことはありません。そのまま進めば、問もなく似位滝の大きな姿を右手に見出すでしょう。森閑とした深い谷の底から見上げる二つの滝は幽玄の趣があります。
2009年1月15日の七曲滝
2009年1月15日の七曲滝
七曲滝は、紅葉谷の道を少し右(西)へ外れた細い道を行くと大きな谷に出ます。それをさかのぼると右手に現れます。大小様々な氷柱が一面にぶら下がり扇のように広がっている様は一大奇観です。こちらの滝のほうが先の二つの滝よりも明るくて人気があるようです。三つとも見て回るには約3時間を要します。

寒さの中にも、春の足音が近づいて来ます。「石走る垂水の上の早蕨の萌え出づる春になりにけるかも」志貴皇子、万葉秀歌がふと浮かびました。

宝塚てくてく第241号<平成21(2009)年2月号>より

宝塚てくてく宝塚てくてく』さんから提供いただいているコンテンツです。

宝塚てくてく』は毎月第2水曜日発行のフリーペーパーで
発行部数8万部。
宝塚市内全域+西宮塩瀬+川西の一部地域に新聞折り込みされています。